それらしくなく、それっぽく

映画やドラマのネタバレがいっぱいある。誤字脱字もいっぱいある。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「山猫」

監督:ルキノ・ヴィスコンティ 1963年 この国に住む我々は多くの場合、このイタリア統一という出来事を歴史的な事件として学ぶこととなる。教科書に描かれた赤シャツの兵士たちやガリバルディの肖像、そしてイタリア半島の地図を通して、そこで何が起こった…

「ダンケルク」

監督:クリストファー・ノーラン 2017年 ダンケルクの戦いと聞いて、あああれかと思ったのは、アメリカの映画「ミニヴァー夫人」のシーンだった。この映画はダンケルクの戦いから2年後である1942年に公開され、文芸映画として、またプロパガンダ映画として広…

「レディ・バード」

監督:グレタ・ガーウィグ 2017年 熱心なインディペンデント映画ファンならば、この作品の持つ硬派な映画スタイルを否定的に捉えることがあるかも知れない。しかし、それはこの映画の建築的な部分が持つ美しさでもあるのだ。 同性同士の友情、親子の関係、恋…

「エリザのために」

監督:クリスティアン・ムンジウ 2016年 映画はある石が窓ガラスを割るところから始まる。誰が投げたのか、そしてなんのために。 破綻した家族は娘が暴漢に襲われたことで、完全に壊れてしまう。しかし、その絆は嘘のない純粋なものへと変化する。 人情や優…

「20センチュリー・ウーマン」

監督:マイク・ミルズ 2016年 あれ、俺の15歳の頃ってどんなだったかな。と思った。アニメを見て漫画を読んでマスかきに勤しむ日々。学校は楽しくないけど、それでも通った。実際に自分が女の子と付き合ってセックスするなんてなんて、考えたことも無かった…

「たかが世界の終わり」

監督:グザヴィエ・ドラン 2016年 最高にかっこいい映像だった。そして物語は、鋭敏かつ繊細なものであった。 息子の才能を天に与えられたものとして、それを利用して家族を望む姿にしたい母親。本来、父のいない家族を取り仕切るはずの自分がそれほど能力も…

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

監督:ジャン=マルク・ヴァレ 2015年 原題「Demolition」は取り壊しを意味する。その動詞であるDemolishには叩いて壊すという意味がある。 妻を失った男の義父は、何かを直す時は一度分解して原因を究明することが必要だと言う。しかし、男は分解して、もう…

「ミッドナイト・スペシャル」

監督:ジェフ・ニコルズ 2016年 豪華な俳優陣に、ワーナーピクチャーズによる配給。しかし、中身はカルト映画と言ってもいいような混沌とした代物なのである。マイケル・シャノンにキルスティン・ダンスと、さらにアダム・ドライヴァーまで、このような錚々…

「ゼロ・ダーク・サーティ」

監督:キャスリン・ビグロー 2012年 歴史的なイベントをうまくエンターテインメントへと落とし込み、かつ、真摯に事件と向き合う態度は「ハートロッカー」にも見られる要素だろう。ただ、政治的にフレッシュな事件を描くときはやはり、その事件について個人…

「幸せの1ページ」

監督:マーク・レヴィン、ジェニファー・フラケット 2008年 録画してあった中でも短い方だったから観たという理由で、今回は大人向け映画ではなく子供向け映画について、書くことになってしまった。そういう映画は、嫌いというわけじゃないけれども、はっき…

「荒野のガンマン」

監督:サム・ペキンパー 1961年 この没個性的な題名からもお分かり頂けるだろう。よくある西部劇である。ダンスホールで働く女に銀行強盗、何か過去を持つ主人公。 サム・ペキンパーといえば、かのワイルドバンチはこの8年後に公開される。そんな彼の作品、…

「台北ストーリー」

監督:エドワード・ヤン 1985年 静謐な筆致と空気を捉えた映像に、台北の都市が描き出される。そして、登場人物たちが、ビルの屋上から都市を眺める。若い女の子が、向こうからこちらは見えないと言う。 スクリーンの中に留められた台北の都市やそれが持つ空…

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

監督:ケン・ローチ 2016年公開 仕事探しなんてことを始めてみると、自分のことで様々なことが分かってくる。そして、それは往往にして、悪いことばかりである。 経験もなく、資格もない。体が丈夫な訳でもなく、頭が良い訳でもない。そんなことを思い知らさ…