映画、映画、映画

いちにちいっぽんえいがをみてなにかをかく(多分できない)ネタバレはあり。そうは言ってもただただ筋書きとか書いていったり細かく解説してとかそういうものではない。観た後に忘れないうちに急いで書くので誤字脱字はたいへん多い。近頃、寝る時間の関係上、映画が見れないこともある。

「エリザのために」

 

 監督:クリスティアン・ムンジウ

 2016年

 

 映画はある石が窓ガラスを割るところから始まる。誰が投げたのか、そしてなんのために。

 破綻した家族は娘が暴漢に襲われたことで、完全に壊れてしまう。しかし、その絆は嘘のない純粋なものへと変化する。

 人情や優しさと汚職や口利きとの境界はどこにあるのだろうか。

 

 複雑でかつ洗練された物語には様々なテーマが扱われている。父親の娘へのひたむきな愛は汚職という行き過ぎた行為へと発展してゆくが、この父親がおかれた状況で他に選択肢はあっただろうか。

 娘が暴漢に襲われたことによって、余計に海外の優秀な大学へ行かせようという気持ちが強くなる中、被害者である娘はそのストレスから海外へゆくための大切な試験をうまく受けられなくなってしまう。そんな十分な実力があるにもかかわらず、うまく行かない娘を見て父親が取った行動は至極真っ当に映る。

 父親もどんなに汚職まみれの世の中を忌諱していても、娘のためなら自分が汚れてしまうことも厭わないのである。そんな父親の愛は、娘にとっては空回りになってしまう。なぜならそれは、ルーマニアの現状を憂いる両親によって、ルーマニアの清廉な未来のためにまっとうに育てられてきたからなのである。

 この親子関係は非常に良くできていると思う。そこで主に描かれるのは、父のどうしようもない状況と娘の同しようもない状況とのぶつかり合いと、その和睦。父親は、家を追い出され、口利きを行ったことから検察から目をつけられる。ますます悪くなる状況の中でも、娘に語りかける言葉はどれも優しさに溢れ、またお節介でもあった。彼はその全てを娘の人生が良いものとなるようにと言葉をかける。しかし、最後には娘の自由、そして強さを認めることとなる。一方の娘は、父親のお節介に辟易し、またその愛に頼ってきた。だが、父親の不倫を知り家族の崩壊に気づいたときに彼女は自立を決意した。そして最後には、試験の際に自らの力で融通を図ってもらうことで、口利きや汚職といったことではなく、あくまでも人情や優しさという範囲で自らの道を切り開くととなる。

 ただ、両者ともに未来は明るいものではないのかもしれない。父親は子持ちの不倫相手との生活を築いてゆくこととなるだろう。しかし、その子供はもしかすると彼の家に石を投げていた犯人かもしれない。そして娘は、彼女への暴行事件になんらかの形で関与した可能性のある男と付き合ってゆくのだろう。それでも、二人は正直に生きることを選んだのだ。