映画、映画、映画

いちにちいっぽんえいがをみてなにかをかく(多分できない)ネタバレはあり。そうは言ってもただただ筋書きとか書いていったり細かく解説してとかそういうものではない。観た後に忘れないうちに急いで書くので誤字脱字はたいへん多い。近頃、寝る時間の関係上、映画が見れないこともある。

「第十七捕虜収容所」

 

 監督:ビリー・ワイルダー

 1953年

 

 どうやらこの映画、原作の演劇があるようで、オープニングの際にクレジットがある。映画化する際にどれだけの変更が加えられて、一体どこがビリー・ワイルダーによって書かれた部分であるかはさだけではないが、この映画は実に素晴らしい。

 コメディとして描かれる捕虜収容所はさながら、ロバート・アルトマン監督の「M★A★S★H」で描かれた野外病院のようだ。しかしそこには上質なサスペンスがあり、人間の醜悪な部分と戦争のもたらす緊張が描かれる。それは、洗練された映画作家としてのビリー・ワイルダーの腕の見せ所でもあるのだろう。

 以前このブログでも、良い戦争映画は悪い戦争を描くと書いた。それはこの映画にも当てはまり、捕虜の置かれる劣悪な環境や、片足を失った兵士、仲間を失ったショックでおかしくなってしまった男と、この映画には戦争で英雄になれなかった、普段スポットライトの当たることのない男たちがいる。それは戦争の持つ国家規模の存在価値や、政治的なプロパガンダを超越した戦争の、一見すると忘れられがちな悲惨な一面を我々に提示してみせる。

 ミステリーとしての質、サスペンス映画としての質、そして何よりコメディとしての質、それぞれが高い水準を持ち、戦争映画の体をなす。なぜハリウッドがこれだけの大きな映画のブランドとして、その名を歴史に名を刻んだのか。この映画を見ればわかるかも知れない。

 

 泥に汗、雪やつらら、貧相な小屋、そしてそこにいる様々な人間たち、これらが創り出す世界は非常に現実的に映る。それはこの映画が、1953年という第二次大戦から間もない時期に作られたことも関係するのだろう。多くの人に取材し、実際にそこにはどんな空気があって、どんな問題が起きたのか、そういった世界を作り上げる細かい部分に至るまでエンターテインメントの領域に収めつつ、それでいて現実的に作り上げる。こうした演出は、ビリー・ワイルダーだからこそなせる技かも知れない。